里緒奈さん、みかこさん、奇奈子さん、そしてわたくし十三花。4人のミストレスとたった独りのM、Sさん。
なんて悲惨で豪華で甘美な時間なんでしょう。
私の十周年のお祝いに、とSさんが企画して下さりました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第1部、鞭当てゲームのはじまり。
はじめに一発ずつ誰が打ったかを体に覚えさせて、それから目隠しをして、誰が打ったかを当てさせる。
わざと間違えているのかしら?と思うほどに全く当たらず。
しまいには4人のミストレスからの同時に一本鞭の乱れ打ちのシャワー。
笑い声と叫び声、鞭が空気を切る音。Sの身体は次第に熱を帯びていく。
赤く染まったその背中の熱を確かめる為に座る。
じんわりと暖かい背中。
その熱に更に爪を立てる。
Sのその口元は、叫びながらも、悦びに綻んで。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして第2部、蝋燭地獄。
竹に手足を拘束し、大の字にさせて、4人で囲み只管に蝋燭を傾ける。
その熱に、私たちの笑顔に。
Sは包まれていく。
全身真っ赤に染め上げる。
こんなにしっかりと固めたのははじめて。
きっとSもそうでしょう?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Sさんへ。
素敵な宴を企画してくださってありがとうございました。
こんな機会は滅多にないです。
4人のミストレスそれぞれの責め。
最後のいい笑顔で、大満足だったのね、とわかりましたよ。
あなたに会う日は、少し背筋が伸びるような。
どんな酷いことをしても、激しい罵声を浴びせても。服を着ている時は敬語でお話ししたくなるような、そんな上品なSさんが好きです。
初めてお会いしたのは、私がミルラに入った年だったのかな?その辺のお話はまた2人で会った時しましょう。
頂いた苺、とっても美味しかったです。
また、素敵な物語を期待しています。
ありがとうございました。
十三花
- 2018/03/08(木) 17:56:10|
- play
-
| トラックバック:0
-
| コメント:2
夏の夜。
背筋の伸びた、礼儀正しい異国の青年。
彼の胸元には、煙草を押し付けたよりは少し大きい、艶のあるケロイド状の傷痕があった。
指先に触れるとつるつるとしていて、ぷっくりと柔らかく、なんとも心地いい。
それは煙草の痕なのか、訊ねる
違う、
と彼は言った
誰にやられたのか、女王様にやられたのか、訊ねる
違う、
と彼は言った
かつての恋人に、噛まれた
と言った。
私は幾度となく人の肌を噛んでいるけれど、あんな傷は見たことがない。
きっと噛みちぎったに違いない。
私の肌は粟立つ。
何があったのか、どんな状況で。
血はどれくらい出たのか、その噛みちぎった皮膚や肉はどうしたのか。
それはどんな味なのか。
どれほどに噛めばそんな風になるのか。
・・・・。頭の中がいっぱいになったけど、訊いたのは、もうひとつだけ。
また、その恋人に会いたい?
彼は、少し照れたような、困ったような顔をして、こう答えた。
少しだけ、会いたい
そんなに酷い傷を付けられてまで会いたいなんて。
そんなに酷い傷を付けられたから会いたいのだろうか。
私の肌は更に粟立ち、胸が締め付けられた。
その日は彼を沢山蹴ったり、ビンタをしたり、首を絞めたりしたような気がするけれど、私のこころは彼の過去に向いてしまっていた気がする。
私の指先はあの傷の感触を今でもふっと思い出し、そこから様々な物語を妄想する。
私もいつかは、あんな傷が出来るほどに、噛みちぎるほどに、愛おしくて、感情を剥き出しに出来る人に巡り合うんだろうか。
傷痕にはその数だけ物語がある。
それはSMプレイの傷でも、手術の痕でも、事故の痕でも。
私の身体の傷痕のお話は、またいつか、ね。
十三花
- 2018/02/04(日) 22:35:10|
- 未分類
-
| トラックバック:0
-
| コメント:3
これは私の身体に、彼岸花が咲いてすぐの頃のお話。
肥満体型ですぐに汗をかく男だった。年齢は確か当時の私の倍くらいだった筈だ。
彼は私に殴られたいという願望をすらすらと話した。
だけど数年前に「うっかり」結婚して妻がいるので痕は残せない。
だから私は彼に馬乗りになって、妄想をすらすらと話した。
私が君を殴るのね、たくさん殴って歯が折れるの、それでね、私の拳は血塗れになって、そしたら私は君の歯がなくなった口に拳を突っ込むの、そうしたらきっとぬるぬるで気持ちいい、
そんな話で彼は高揚し、顔を真っ赤にさせてたくさん汗をかいていた。
その度に髪が畝る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ある日彼はこんな提案をした。
「水責めをしてください、それなら風邪を引くだけで痕は残りません」
まだ空気の冷たい3月の初めの夜、私は裸の彼をベランダに放り出した。
そしてペールに氷水をはって、氷ごと頭からかけた。
それを何度も繰り返した。
そしてわたしは部屋の中に入り、扉を閉めた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから暫くして、暖かいお湯につけたタオルを一枚、彼に向かって放り投げた。
泣きながら彼はこう言った。
「あなたが天使に見えます」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
部屋に戻り、鼻水を垂らしながら。
彼は私にこう言った。
「本当はあなたになりたいんです。あなたのような長い黒髪の美少女になりたい。そして、セーラー服を着て、その姿で、殴られたい。歯が折れるまで殴られたいです。」
身体の中身が砂になって、急に下に向かって落ちていく感じがした。
だから私は、私がセーラー服を着ていた頃の話をした。
生成色で紺色のラインが入ったセーラー服。
女子生徒は極端に少なくて、古い古い校舎。
地下へ続く階段、その先の扉は一度も開けたことがなかったこと。
部活で夜遅くまで残って、誰もいない暗い廊下を、革底のローファーで歩いて、自分の足音だけが響く。
皆はゴム底のローファーだからこんな音はしない。
そう思うとゾクゾクしたこと。
彼は顔を真っ赤にさせて汗をかいた。
「そう、そんなところで、あなたになって、殺されたいんです」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今でも、ケインや鞭で血が滲む程に尻を叩いているとき。息ができなくなり落ちそうな姿を見ているとき。
一瞬だけ、そうされている自分の姿が過る。
一瞬だけ、身体の中身が砂になって、下に向かって落ちていく。
十三花
- 2017/12/03(日) 16:46:34|
- 未分類
-
| トラックバック:0
-
| コメント:0