とてもおしゃべりな男。
喋る喋る。
「はっきりと申しますと部活の様に追い込んで頂きたいのです」
本人は部員で、私はマネージャーや監督になってほしいという。
こんなにはじめからはっきりと言ってくれるのは快い。
そこに私への忠誠などはないという事を。
それは、それ。
SMクラブ、主従関係、女王様と奴隷。
絶対にそうじゃなきゃいけない事なんてない。
どの程度のものなのか、いつもよりきつめに縄をかける。
もっと、もっと。もっときつく。
休憩を挟みながら、どんどんきつい縄をかける。
解いたら何と嬉しそうな、幸せそうな顔で、
「あのまま30分くらいいたら死んでましたね♪」
死にたくはない、けれど死にそうになりたいんです。
縄を解くと笑顔でそんな事を言う。
●
死にそうになりたくて編み出した自縛の術を教えて貰った。
●
その男は結婚をしていて子供まで何人か作ったと言うのに実はセックスなんてしたくなくて苦手なんだと教えてくれた。
奥さんにその事を告白したら
「あたし、手先は器用だから!」
と縛り方を覚えて縛って貰ったことがあると言う。
私の心はそれを聞いて奥さんの方に乗って行った。
そんなこと告白されたら、どんな気持ちになる?
縛ってあげたのは何のために?
そこに感じたの?
それは紛れもない愛なんだ、と思った。
私の知り得ない愛。
ただ、私ができることは。
「死にそうになりたい」のお手伝い。
そんな日も、いいんじゃない?
うん、いいねとても。
Author:十三花(TOMiCA )
拠点を名古屋から東京に移し、SM活動中。
まだまだ勉強中ですが、緊縛が好きです。
楽しいことが大好き。
SM以外の日常的な事も日々呟いています。