13th floor

「わーお久しぶりっすね、先生」

「お？覚えてる？」

「確か⚪︎⚪︎に住んでる⚪︎⚪︎の先生ですよね。

もちろん覚えてますよ、」

もう　お爺ちゃん　と言って失礼のない年齢。

SM歴なんと50年。

私が産まれるずっと前から変態。

遠いまちに暮らすひと。

一年ぶりに会い、たくさん話をした。

こんな人がいるんだってね、

そうなんですよ、確かにいますよ。

このサイト面白いよ　

へーこんなんあるんすか！

こんなAV見てさー

えっそんなのまでみるの？！　変態っすねー！

きっとこんな話この一年誰ともしていなかったんだろうな。

改めてこうやって文字に起こすと、私の「先生」に対する敬語は親しい先輩へ向けてるようだ。

それから。

脚を縛って鞭を打つ。

全身を縛り、体の中に指を入れる。

蝋を垂らす。

その間「先生」は一切声を発さない。

微かに息が上がる程度。

私もずっと黙ったままで。

黙々と。やりたいこと、やられたいこと。

を、繰り返す。

あっという間に日は暮れて。

さよならの時間になった。

「これで暫く大丈夫だ」

私が部屋のドアノブに手をかけようとしたとき。

「先生」はそう言った。

大丈夫って何が大丈夫なの？　そんなふうに笑ってさよならをした。

これで暫く大丈夫。

先生の誰にでも晒す訳ではない特別な欲。

その欲望のタンクは2人の時間で満タンになったみたい。

でもすぐに、空っぽになるんじゃないかしら？

暫く、のあとに。

またこのまちで会いましょう。

それで、沢山たくさん話して、笑って。

それから、黙って、満たしましょう。

私はここにいます。