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13th floor







既に仕込んでしまっている身体だった。



その犬は。


鞭の音を聴くと安心すると言っていた。


目隠しをして身の動きを封じて、暫く閉じ込めてそれを解くと 怖かったですと心底安心したような声を出した。


首輪をはめるだけで、硬くなった。


こんなのはどう?なんて冗談めかしく話をするだけで眉をこまらせて興奮していた。




そんな犬が私を裏切った。





そしてそれへの罰を考えた。



あの犬が出来ないことは何。







私は剃刀と貞操帯の鍵をテーブルの上に並べた。



どっちがいいいか自分で選んでごらん。



賢い犬は鍵を選ぶと外されて、それはさよならを意味することだとすぐに悟ったのだろう。



迷わず剃刀を手に取った。





それで、私を切ってごらん。



そういうと途端に剃刀を持つか細い手は震え出した。


あんなに震えている手は初めて見た。




あの犬が出来ないことは何。



それは、主を傷つけることだ。



剃刀の刃は鈍い色をしていて、きっと光ってはいなかったのだろうけれど、記憶の中のそれはキラキラと光っている。




震える、と言うよりは暴れる犬の右の手首を掴む。


さあ、切ってごらん。


できなかったらさよならだ。




呼吸を荒くして。



犬は私の腕の内側に剃刀の刃を置いた。




私の白い肌にゆっくりと、赤い線が浮かんだ。


それから遅れて、ぷつぷつと赤い点がふたつ。









よくできました。これからも一緒だね。


どうしてそんな顔するの?笑ってよ、



涙を流す犬は無理矢理口角を上げた。



初めて見る顔。



そんな顔は私しか知らなくていい。




私は自分の内側で弾ける音を聴いた気がした。




震える犬を私は強く抱きしめた。





昔のはなし。






十三花


  1. 2022/03/28(月) 17:17:50|
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20220313235201d9d.png



画家 佛淵静子さんのモデルをやらせて頂きました。


私が絵のモデルにお誘いを頂く機会があるのは刺青のお陰かな、と思っていたけれど佛淵さんの絵の中の私には無い。


では次に私を示すものは。

髪型かしら。

と思ったけれどデッサンの際に これで結んでくださいとヘアゴムをふたつ渡されました。


次は、目かな?

と思ったけれど眼鏡でそれすら見えなくて。


私を示すものがひとつもないのにこの絵の中の人はどう見ても恐ろしい程に私。

思わず頭を撫でた。


それは私にとって新しい発見なのかもしれない。


前回掲載させて頂いた絵はタイトル未定でしたが、この絵のタイトルは「指」。


私は刺青が無くても髪型が変わっても目が隠れていても私でした。



十三花

  1. 2022/03/14(月) 21:34:31|
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十三花(TOMiCA )

Author:十三花(TOMiCA )
拠点を名古屋から東京に移し、SM活動中。
まだまだ勉強中ですが、緊縛が好きです。

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