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13th floor

まるで恋心のような

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初めて降りたった鹿児島。


このまちで出逢った女の子のおはなし。







すぐ近くに見える日本画のような現実味のない山の上の青い空に白い雲がぽかんと浮かんでいる。




SM道具を詰めた重いキャリーバッグを引いて見慣れぬ扉を開けるとふわふわとした雰囲気の色の白い、ボブカットの女の子がいた。



えらく緊張しているようで大きな瞳がきょろきょろと動く。



「十三花様にお会いできるなんて夢のようです」



聞けばこのまちからも随分と遠くの九州のとあるまちからわざわざ私に会いに来てくれたそうだ。


連休を取れないから東京へは行けない。


だからまさかこうやって会えるなんて思っていなかったと。



SM未経験どころか、ラブホテルに入るのも不慣れで、パートナーにここまで送ってもらったそう。



パートナーの了承を得てここにいること。


何もかも未経験であること。


鞭を打たれてみたいこと。


その相手は私がいいこと。



短い時間だったので割と手短に話を聞いた。



痕が残っても大丈夫か聞いたら、



残して欲しいと言われた。




シャワーを浴びてレースのランジェリー姿で出てきた彼女。


エナメルのコルセットを締めてエナメルのブーツを履いた私。



彼女が夢みていた風景なんだろうか。


私にとってはついさっき会ったばかりの見知らぬ女の子だけれど、彼女は私の存在を前から知っている。


全く未経験の彼女と、10年以上も前から鞭を打っている私。



そんなちぐはぐな私たちが、位置について。







彼女は私の足元に跪き、私は彼女の背中にブーツを履いた足を乗せる。


踏みつけたら壊れてしまいそうだから、靴底が触れる程度に優しく。



緊張しているのだろう、張り付いた笑顔。


強張っている表情と身体。



それを解きたくて、私は白い肌に鞭を振り下ろす。


押し殺した声に赤く滲む線。



こんな可愛い女の子にこんなことをされてみたいと思わせてしまった自分が罪深いとさえ感じる。


でもその白い肌が赤く滲む度に肌が粟立つほどの快感が私にも滲んでいく。



夢見た風景とそれは合致したんだろうか。


きっとその瞬間は夢のことは忘れていたと思う。




あっという間に時間になってしまった。


口紅を塗り直していたら、


「ここにキスマークをつけて欲しいです、」


とメモを渡しできたので、そのメモにキスをした。


ありがとうございます、とそれを見つめてニコニコしている彼女。


さっきまであんなに酷いことをしていたのに。


その表情を見て少しだけホッとしたような気分になった。



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彼女は、手紙と私の好きなチョコレートと、コーヒーのチケットをくれた。



さよならした後に早速手紙を開いた。



まるで恋心のような から始まる彼女からの手紙。


私は私でよかったな。


こんなに素敵な女の子に、こんなに想われるなんて。





翌日、メッセージが届いた。



またこんなことをするなら、やっぱり私がいいんだって。



鞭の痣は、お花みたいに綺麗なんだって。




また会いたいな。


  1. 2023/10/31(火) 00:29:15|
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Author:十三花(TOMiCA )
拠点を名古屋から東京に移し、SM活動中。
まだまだ勉強中ですが、緊縛が好きです。

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