「好きな女王様も気になる女王様も他にも居るけれど、お金を払って自分から会いに行きたいと思ったのは十三花さんだけなんです、」
彼女はそう言って煙草の煙を吐きだす。
ラッキーストライク、膝下のワンピース、少し低い色気のある声。
綺麗、かわいい、美人?
それよりも「いい女」なんて言葉がよく似合う大人の女性。
彼女の第一印象はそんな風だった。
聞けば私と同い年。
下着姿で私の前に跪くと、先程とは全く違う蕩けるような瞳に変わっている。
いつスイッチが切り替わったのか、初めはそれを隠していたのか、解らなかった。
盛夏。
そして彼女はもう一度私に会いにきた。
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強い眼差しはいつのまにか蕩ける様な視線に変わる。
髪を掴むと、声が漏れる。
誰かに、私に聞かせる為の声ではなくて、底から漏れてくる様なその声に思わずドキドキしてしまった。
柔らかく小さな肩。
縄を這わせるとその声は更に湿り気を帯びてくる。
この日、彼女に会う前に、
匂いフェチの男の子に私の靴の匂いを嗅がせたらうっとりとずっと嗅ぎ続けていた。
あまりにもずっと嗅ぎ続けていたので、「今どんな気分?」と聞いてみたら、「恥ずかしいです…」と眉間に皺を寄せ、それでも尚嗅ぎ続けていた。
縛って仰向けに寝かせた彼女の爪先を見下ろした時、その事がふと頭をよぎった。
そして彼女の脚を上げ、爪先に鼻を付けて、嗅いでみた。
「恥ずかしい!!」
漏れる喘ぎ声に続いて、出てきた言葉。
真逆の状況。先程は私は自分の足の匂いを嗅がせていた。今は私は相手の足の匂いを嗅いでいる。
でも、出てきた言葉は同じ。
「恥ずかしい」
マゾ心の煽られ方は本当に人それぞれ。
羞恥に身を捩らせる彼女がとても愛おしく思えた。
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鞭を打ったり、蝋燭を垂らしたり。
彼女の身体を楽しんでいるうちにあっという間に終わりの時間が近づいてきてしまい、それから私たちは、一緒に湯に浸かった。
まるで恋人同士のように。
湯から上がると、お互いさっきまであんなに激しく乱れていたのに、何だか爽やかな気分になった。
変態?おかしい?しかも女同士で?
そう、確かにそれはそうなんだけれど。
だから何?
そんな気分。
彼女の事をもっと知りたくなった。
少し影のあるいい女。色でいうなら青紫。
- 2021/09/16(木) 00:01:20|
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