いつの頃か、それは忘れた。
いつの間にか。
足が嫌いだった。
自分の足、特に指が嫌いだった。
細く長く、親指より人差し指の長い足の指に憧れた。
幅の狭い足に憧れた。
指の出るサンダルが履けなかった。
そんな私の足を宝物のように扱う人に出会った。
私の足元に跪くひと。
今でも決して「美しい」なんて思わないけれど。
少しだけ自分の足が好きになれた。
夏にはサンダルも履くようになった。
そして私の足の親指は、曲げると無限におかしな音がする。
骨が鳴っているのか。否、筋が複雑に絡み合うような変な音。
物心ついた時にはこの音は鳴っていて、誰にも気付かれてはいけない病気だと思っていた。
いつの頃からかこの音は「気持ちの悪い音」としてふざけて友達に聞かせるようになった。
皆、決まってびっくりして顔を顰める。
この音をもっと聞かせて欲しいという人に出会った。
そしてこの音を聞くたびに高揚していくのだ。
嫌いだった足を崇めるひと。
誰にも知られてはいけないと思っていた音を聞いて興奮するひと。
彼らのお陰で、自分を好きになれたのです。
ありがとう。
十三花
- 2018/03/09(金) 23:34:22|
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