20年振りのSMクラブだという、ワイシャツを着た痩せたおじさん。
20年間何をしていたの?
働いて、結婚して、子供を作って…普通の人間のフリをして生きていました。
そのまま生きていた方が幸せだったんじゃないの。わたしの写真がこっちの世界に引きずり戻したようだけれど、そんなことは知らない。
床に座ってごらん、きっとあなたにはそこが似合うから。嫌ならそのままでいいけれど。
ソファに座る私。
床に座ったおじさんは醜くて可愛いマゾになる。
20年振りにその醜い姿を晒し始める。
見つめて頂けるなんて嘘みたいです。
これは夢の世界なんかじゃなくて、会社を出て、電車に乗って、そしてここまで歩いて。
そこからずっと繋がっている現実。
叫び声を聞いた。震える手に触れた。
時間が来て、元の姿に戻る。ワイシャツの、痩せたおじさん。
昨日、あなたみたいな人を沢山見たの。あなたが沢山いましたよ。
知らない駅で降りて見たの。そこは沢山の長方形に囲まれていて、ワイシャツを着た、沢山のあなたが、まるで引いてある線の上をなぞるように、まっすぐに歩いてるモノクロの街でした。
昨日見たあの人たちも、今日のあなたみたいに色づくことがあるのかしら?きっとあるんでしょうね。
「私は、色づいてましたか」
「はいとても、極彩に色めきだっていましたよ」
白黒の世界から繋がっている、極彩色の世界におかえり。
- 2017/09/07(木) 01:38:50|
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