2024年6月28日金曜日午後5時をすぎた頃。
私は新宿歌舞伎町のラブホテルでとある女装をした男性にはんだごてで火傷を負わせました。
それは彼、いえ、彼女に懇願されたのです。
雨。
私と彼女はいつも昼過ぎに新宿駅で待ち合わせをする。
それはとても特別なこと。本来私がホテルの扉を開くことで会う関係だから。
チェックのミニスカートとハイソックス、白髪混じりのロングヘア。
私は彼女をすぐに見つけることができる。
あそこのソフトクリーム美味しいんだよね、
そんな話から
地下街でソフトクリームを食べる。
まるで女友達のようで、姉妹のようで。
それから一度解散をして、私はSMの道具がぎっしり詰まった大きなキャリーバッグを取りに行き、彼女の待つホテルへ向かう。
つま先でしか立つことのできないバレエブーツ。
麻縄。
そして彼女が鞭職人にオーダーしたという新しい一本鞭。
それらを使って私たちは何をするでしょう。
私は奴隷を調教する女王様でしょうか。
彼女は私の従順な奴隷でしょうか。
それらを使って私は、彼女を「調教している」
様に見えるかも知れない。
それらを使って私たちは対話をする。
たまたま 私たちが対話しやすいのがその形だっただけなんだと思う。
彼女は私の奴隷だとは思っていない。
敢えて言うなら生徒という言葉が似合う気がする。
そして、彼女が用意したはんだごてを温める。
前回会った時にお願いされたこと。
エビの絵を描いて欲しいとお願いされた。
奴隷が女王様に忠誠を誓うなら、きっと女王様の名前を入れるはずだ。
こんなふうに対話している私が「たまたま」絵を描くことが得意だからやって貰いたくなったんだ。
温めたはんだごての先を鼠蹊部に載せる。
失敗は許されない。
熱がる彼女を愉しんだり心配したりする余裕はない。
私は肌の上に火傷で絵を描く。
行為を切り取るとハードなSM調教をしている女王様とその奴隷に見えるんだろう。
だけど私たちには私たちなりの特別な関係があって、それで私たちはその時間は最も近くに繋がる。
彼女がオーダーした一本鞭は、これから様々なパーティーで出会う人に打ってもらうそうだ。
だけど、初めの一発目は私。
この特別な関係性。
彼女は私の長い髪や体を彩る刺青に憧れている。
憧れの先生と可愛い生徒の研修。
さよならする頃には雨は上がった。
その日の夜に彼女からメッセージが届いた。
本日は☔のなか、ありがとうございました☺️ソフトクリーム、おいしかったですよね~☺️
いろんなことをしたのにソフトクリームか!とひとしきり笑った。
彼氏と彼女、女王様と奴隷、飼い主とペット。
様々な関係があるけれど、私たちには私たちの新しい関係性がある。
それは、誰にも邪魔させない。
Author:十三花(TOMiCA )
拠点を名古屋から東京に移し、SM活動中。
まだまだ勉強中ですが、緊縛が好きです。
楽しいことが大好き。
SM以外の日常的な事も日々呟いています。