そのひとは、とても物腰が柔らかく、美しい言葉を操り、博識で上品だ。
季節でいうならば秋。
優しい顔をしていて、スマートフォンはもちろんのこと携帯電話を所有していない。
何事もひとつひとつ丁寧に楽しみ、吸収しているひとなんだと思う。
私の知らないことも丁寧に教えてくれて、もしすぐに私から会える場所、例えばカフェのマスターだったり図書館の司書だったりしたら、話をしたい時にすぐに会いに行っている筈だ。
そんなひとが裸になりハイヒールを履いた私の前に跪く。
そうするとそのひとはどんどん堕ちていく。
簡潔に言って仕舞えばどんどん馬鹿になるのだ。
欲に塗れた醜い姿。
賢いひとがどんどん私の目の前で馬鹿になっていく。
欲を満たして笑顔になる。
特に麻縄で宙吊りになるととてもだらしない表情になる。
ああ、さっきまでの紳士はどこにいったの。
私はそのひとの振れ幅がとても好きだ。
跪く前と、シャワーを浴びて元に戻った時。
私はその人に対して自然と敬語になる。
私より随分と歳上の紳士。
そのひとに会うとき、私の背筋はいつもより伸びている気がする。
十三花
Author:十三花(TOMiCA )
拠点を名古屋から東京に移し、SM活動中。
まだまだ勉強中ですが、緊縛が好きです。
楽しいことが大好き。
SM以外の日常的な事も日々呟いています。