おかしくなっちゃう おかしくなる 砕ける
おかしくなる
私があの子の体の中に指を入れてほんの少し動かしたら、あの子はそんなことを言ってた。
大丈夫、おかしくなっても不思議なことに、日は昇るし、お腹は空くし、仕事もあるんだよ
何故そんなことを言ったのだろう。励ましなのか。
大丈夫、おかしくなっても。
その言葉に身体は緩み快感にどんどん陥って狂っていく。
総毛立ち、汗ばみ、喉は枯れる。
何度も昇りつめては堕ちていく。
繰り返し。繰り返し。
快感に疲れ果てたあの子の手のひらに私の指を置いて。
ほら、大丈夫だったでしょ、おかしくなっても。
おかしくなっても、こんなにおかしくなっても、不思議なことに日は昇るし、お腹は空くし、仕事もある。
それに私たちはこの部屋を出て、そしてこの建物を出て、雨上がりの夜のまちから家に帰るんだ。
何もおかしくない景色があるよ。
君は一人暮らし?そう、家族がいるのか。
犬や猫はいるの?そう、ペットはいないんだね。
だったら、いつもの家に帰って、お父さんの顔もお母さんの顔も何も変わってなくて、多分いつも通りごはんは美味しくて、カーテンの色だって何も変わっていない。
こんなに新しい快感を手に入れたのに、内側はこんなに変わったのに、自分の外側は不思議なことに何も変わっていないんた。
ほら、砕けるなんて言っていたけれど、ちっとも砕けていないよ。
君の身体はここにある。
だから、おかしくなっても大丈夫。私の前ではね。
十三花
- 2019/08/27(火) 17:41:54|
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