待ち合わせ場所へキャリーバッグを引きずりながら向かう。コートの襟を立てて。
歳下の男の子。
彼の第一印象。
思わず年齢を聞くと、私と同い年だった。
まだ何も始まっていないわたしたち。
彼がどんな性癖を隠し持っているのか。
何も知らない。
だけど私の気持ちは既に高揚する。
同い年。
もしかしたら同じ教室にいたかもしれない男の子。
そして私の足元に跪く。裸で。
同い年の男の子が。
ちがう、もう、彼は男の子ではなくて「男性」だ。
背中の輪郭を軽くなぞる。
それだけで漏れる喘ぎ声。
教室にいた同級生たちがなんとなく重なって。
そう、そんなふうに。
少しドキッとするようなこと。
いくつかある。
左手の薬指に指輪をはめているM男性。
その指輪から、そのマゾの日常を思い浮かべる。
きっと、優しい旦那さんなんだろうな。
子供はいるのかしら。
とあるM男性のスーツのポケットから丁寧にアイロンがけされたハンカチが出てきたときも、私の心は高ぶった。
そのハンカチにアイロンをかけたのはだれかしら?
あなたは、ここにいていいの?
日々、SMをしていても。私はこれを手放しで「いいこと」だとは思っていない。
男性が女性に跪くなんて。
寧ろ、性別なんて関係ないかもしれない。
人が人に、跪くなんて。
やってはいけないこと。
その背徳感が、最高に気持ちいい。
十三花
- 2017/01/07(土) 21:23:51|
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