さっき初めて会ったばかりなのに、鞭を打ち続けた。
細い身体に、少しだけのバラ鞭、そして無数の一本鞭。
只管に鞭を打った。
お仕置きではない。私たちは主従関係なんてまだ無い。
今後できるかもわからない。
ただ、鞭を打たれたい男と、鞭を打ちたい女。
ただ、というのは語弊がある。
この男は、私に鞭を打たれたかった。
四つん這いにさせて一本鞭を打つ。
少しわざとらしい喘ぎ声。
向かい合って鞭を打つ。
見つめ合いながら。
私は汗ばむほどに鞭を振る。
無数の痕。
わざとらしい喘ぎ声は止み、見開かれた目。
私は、怖くなってきた。
私も息が止まる。
穴に落ちていくような感覚、漠然とした恐怖。
怒り出したら?とか泣き出したらどうしよう?なんてそんなのではなくて、
真っ黒い穴にゆっくり落ちていくような、漠然とした恐怖。
でも鞭を振る腕は止まらない。
時が止まったようで、高速で過ぎていくようで。
どれくらいの時間だったのか、何発打ったのかはわからない。でも怖くなる瞬間は確かにあった。
また声が漏れて、ふっと元の時間戻る。
打ちたい女と、打たれたい男。
腕が疲れたことに気づいた私は、私の膝下にその男を呼び、こう聞いてみた。
「さっきね、なんかこわかった。見つめあってる目が見開いて、声が止んで。こわかった。でもやめられなかった」
男は顔を上げて
「入ってました」
と満面の笑みでそう答えた。
打ちたい女と、打たれたい男だったけれど。
私はまた、あなたを打ちたい。
十三花
- 2021/11/08(月) 00:29:26|
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今回はSMではないお話。
四年前にTwitterに載せたこの私の金歯を見せている写真。
この呟き。四年も前なのにずっと歯フェチのアカウントの方々に反応し続けられています。
歯フェチってこんなに沢山いるのか。と驚いています。
私の口中には5本の金歯があります(20K)。
今時金歯入れる人なんていないから、と歯科医に止められたけれどどうしても金にしたくて。
実は…私も、フェチと言って良いのかは解らないけれど、歯が大好きです。
それはもう、真っ白で歯並びの良い歯が良いに決まっている。
男女問わず白い歯並びの良い歯は素敵です。
それは全体的に見た人として。
だけど治療痕のある歯や虫歯やガタガタの歯並びの歯を見るとゾクゾクしてしまう。
YouTubeで残根抜歯や虫歯治療の動画を見てはゾクゾク。昔だったらこんなの絶対に見れなかったよなぁ 良い時代に産まれたものだ。
特にホワイトデンタルクリニックの動画とかおり先生の動画が好きです。
私に、「口の中を見せてごらん?」と言われた事があるマゾ、いるでしょう。
それは責める気持ちではなくてただ君たちの歯並びや治療痕が見たかっただけです。
歯から見えてくる人生を見たかっただけ。
人の口の中を、歯を見れる仕事でよかった…皆ありがとう。
歯に強い関心を持ったきっかけについて。
幼い頃、たしか「金田一少年の事件簿」のドラマのとある回で、白骨化した遺体の身元確認は歯の治療痕から行われていたのです。(ストーリーについては全く覚えていない。)
そうか、私が私である証明は歯に残るのか。
私は骨になっても歯を見れば私のままなのか。
と自分が白骨化した事を想像してゾクゾクしたのを今でもよく覚えている。
歯並びが悪かったり、治療痕があったり。
特徴的な歯への少しの憧れ。私が私である証明。
酷い虫歯を放置していたり見える所に歯がない人には人として強い嫌悪感がある。
ただ、「歯」として見るとその強い嫌悪感は裏返しの興味。
叶わぬ夢だけれど、人の歯を抜いてみたい。
それともうひとつ思い出した。
乳歯が抜ける遠い記憶。
抜けるというより剥がれる に近いような。
ぐらぐらして、血の味がして、最後に私の歯茎から、私から離れていくあの感じ。
痛いような気持ちいいような、あの感じ。
さっきまで私だった歯が私から離れて私でなくなる瞬間。
二度と味わうことのできないあの感覚を、また味わってみたい気持ちが強くある。
こんな事を書いていたら少し恥ずかしい気分になってしまいました。
これは私のfetishismなのか、そうではないのか。
まだまだ私の中の知らない部分はたくさん。
私の金歯を見にくるだけでも歓迎します。
歯フェチの方々、待ってるね。
十三花
- 2021/09/16(木) 00:15:05|
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「好きな女王様も気になる女王様も他にも居るけれど、お金を払って自分から会いに行きたいと思ったのは十三花さんだけなんです、」
彼女はそう言って煙草の煙を吐きだす。
ラッキーストライク、膝下のワンピース、少し低い色気のある声。
綺麗、かわいい、美人?
それよりも「いい女」なんて言葉がよく似合う大人の女性。
彼女の第一印象はそんな風だった。
聞けば私と同い年。
下着姿で私の前に跪くと、先程とは全く違う蕩けるような瞳に変わっている。
いつスイッチが切り替わったのか、初めはそれを隠していたのか、解らなかった。
盛夏。
そして彼女はもう一度私に会いにきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
強い眼差しはいつのまにか蕩ける様な視線に変わる。
髪を掴むと、声が漏れる。
誰かに、私に聞かせる為の声ではなくて、底から漏れてくる様なその声に思わずドキドキしてしまった。
柔らかく小さな肩。
縄を這わせるとその声は更に湿り気を帯びてくる。
この日、彼女に会う前に、
匂いフェチの男の子に私の靴の匂いを嗅がせたらうっとりとずっと嗅ぎ続けていた。
あまりにもずっと嗅ぎ続けていたので、「今どんな気分?」と聞いてみたら、「恥ずかしいです…」と眉間に皺を寄せ、それでも尚嗅ぎ続けていた。
縛って仰向けに寝かせた彼女の爪先を見下ろした時、その事がふと頭をよぎった。
そして彼女の脚を上げ、爪先に鼻を付けて、嗅いでみた。
「恥ずかしい!!」
漏れる喘ぎ声に続いて、出てきた言葉。
真逆の状況。先程は私は自分の足の匂いを嗅がせていた。今は私は相手の足の匂いを嗅いでいる。
でも、出てきた言葉は同じ。
「恥ずかしい」
マゾ心の煽られ方は本当に人それぞれ。
羞恥に身を捩らせる彼女がとても愛おしく思えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鞭を打ったり、蝋燭を垂らしたり。
彼女の身体を楽しんでいるうちにあっという間に終わりの時間が近づいてきてしまい、それから私たちは、一緒に湯に浸かった。
まるで恋人同士のように。
湯から上がると、お互いさっきまであんなに激しく乱れていたのに、何だか爽やかな気分になった。
変態?おかしい?しかも女同士で?
そう、確かにそれはそうなんだけれど。
だから何?
そんな気分。
彼女の事をもっと知りたくなった。
少し影のあるいい女。色でいうなら青紫。
- 2021/09/16(木) 00:01:20|
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私の腕の刺青も背中の刺青も無かった位、昔の話。
当時私は名古屋のSMバーに在籍していた。
SMバー。 仄暗い店内に蝋燭のあかり。赤い壁に鉄格子。お客さんは、パートナーを連れてくるサディスト、店の女王様に跪くM男性、緊縛に興味を持ち始めた女の子…。
の他に、「面白い飲み屋があるらしいから行ってみよう」という感じの団体さんの来店もあった。所謂ノンケ客である。
特にそのお店はSMショーを開催していたのでそんなお客さんも多くいた。
そのおじさんもそんな、ノンケ客のうちのひとりだった。
初めて来店した日は覚えていないけれど、そのおじさんはいつも深夜にひどく酔っ払って店の扉を開いた。
部下の様な子分の様な人を数名連れて。
私はとても気に入られていて、「こいつは俺の友達だからな!」と連れている部下の様な子分の様な人たちに紹介されていた。
(後に聞いた話だけれど、私が「女の子もオナニーするんだよ」と教えてあげたからすごい事を教えてくれる良いやつだ!となり友達になったらしい)。
私のするSMの話や変態の話が彼にとってはとても新鮮だったのだろう。
沢山のお酒を飲み、私も沢山頂き、高級なボトルを入れ、私にチップを渡し、いつもあっという間に帰っていった。
ある日そのおじさんは色の白い、とても美しい女性を連れてきた。
おい、こいつをいかせてやってくれ。
私は彼女を縛り、鞭で叩いた。
初めての時にすぐに悟った。この女性はこんな事したくないんだろうな。愛人が、お気に入りのホステスさんか。何かだろう。
申し訳ない様な、なんとも言えない複雑な気持ちになった。
おじさんはそれを見てとても上機嫌で、彼女に「お前もこんなのが好きか?」と聞きそれに彼女は「はまっちゃうかも」なんて答えていた。
その日はいつもよりチップが多かった。
それからおじさんは度々その女性を連れてくる様になった。
なんだかな。これはSMなのかな。いや違うよな。
またおじさんの指示が来た。
私はおじさんにバレないようにこっそり
「そんなに強くやらないから、オーバーに痛がるときっと喜ぶよ」と彼女の耳元で囁いた。
彼女にSMの悦びを教える程のスキルも度胸もなかった。兎に角スムーズに終わればいい。
彼女が果てると、おじさんはとても喜び、また仲間たちと酒を飲んだ。
カーテンを閉めて私は縄の片付けを、彼女は服を着ている時。
彼女から私に話しかけてきた。
「私あの人の愛人でさ、マンションとかも借りてもらっててさ」
「実は最近彼氏ができたんだけど、あの人は知らなくてさ、彼氏もあの人のこと知らなくて」
SMをしてる「フリ」をしている2人の秘密の関係。
SMではない、信頼関係?
そんな夜が続いた。
私からもつい
「ごめんね、ほんとはこんな事好きじゃないんでしょう?」
と聞いてしまった。
「全然好きじゃないけど、あんたのことは嫌いじゃないよ」
えへへ、ありがと。
なんて照れ隠しに笑ったけど、すごくホッとしたのをよく覚えている。
まるでおじさんが悪者みたいに思えるかもしれない。
だけど私はそのおじさんのこともその女性のことも好きだった。
船や高級車や桁違いの自慢話をする癖に、私の話には 「お前すげーな!」と子供の様に驚き、喜んだ。
時々聞く昔の苦労話も凄く勉強になった。
そのおじさんの部下の様な子分の様な人たちも私はおじさんの「友達」なので、一目置かれるというか、とても丁寧に扱ってもらえた。
その店を辞めてからは、おじさんは勿論、彼女にも会っていない。
もうあんなこと二度としたくないな。
だけど、時々ふっと思い出すんだ。
2人きりになった時の彼女の、「ふつうの女の子」になった時の顔。
- 2021/08/24(火) 23:13:23|
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先ずは、この清楚なお嬢さんにいつもの私たちを見せてみよう。
M女性Nさんを首輪で固定して私はM男性Sへ一本鞭を振り下ろした。
いつも以上に興奮しているS。その姿を不安と期待が入り混じった瞳で見つめるN…と、言いたいところだけれど、そうではなかった。
期待と、憧れのワクワクしたような瞳。
もしかしたら身体が疼いていたのかも知れない。
3人。それぞれの欲が混ざっていく。
私はNの手を取り、導いた。
白く滑らかな肌は鞭はほんのりと赤く染まっていく。
Sの今まで見たことのない様な表情。
きっと、彼はこんな形で、こんな姿で責められたくて、自身を重ねている。
そして、裸で四つん這いになっているこのお嬢さんは。
こんな風に私にされることをずっと思い描いてたんだ。
まさか、その空間にもう1人いるとは想像していなかったとは思うけれど。
そして私はNをSと同じ様な姿に縛った。
柔らかく白い肌に食い込む麻縄。
なんて似合うの。
素晴らしいです… と溜息を漏らすS。
そう、素晴らしい。それはとても。
私はそんな素晴らしい2人の姿を、客観的に見たくなって、2人の乳首をチェーンで繋げて、ソファーに座って眺めた。
快感と痛みと興奮と。あとは?
沢山の思いに2人を繋ぐチェーンは音を立てる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
鋭い空気ではなかった。
なんとなく、ふわっと浮いている様な、そんな空気。
夢のような光景だけれど、これは現実。
2人の縄を解き、蝋燭に火をつける。
Sの体を赤く染める。うっとりとした表情のS。
私の悪戯心がフッと顔を出したので
あなたも、垂らしてみて
とNに蝋燭を渡してみた。
え?私が垂らすんですか?
と、可愛らしい笑顔で驚きながらNはSに、遠慮がちに蝋燭を零した。
そして、次は、あなたの番。
床に寝かせて、上から見下ろす。
悪い事をしている様な気分になってしまう。それが、気持ちいい。
こんな可愛らしいお嬢さんに、しかも男性が見ている前で。
白い肌にいっそう映える赤い蝋。
Nの高い声が漏れる。それはどんどん大きくなって。
遂に涙を溢してしまった。
嫌ならいやって、言ってごらん?
熱い、熱いの…!でも、嫌って言いたくない!
涙は更に溢れて、私の心は更にズキズキと痛む。
ああこんなに清楚なお嬢さんを泣かせてしまった。
それは、きもちいい痛み。
体の底の方から痛む様な快感。
ひとりのお嬢さんの扉を開けてしまった。
いや、もしかしたら、私をネット上で見つけた時には既に少しだけ開かれていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
各々シャワーを浴びて元に戻ると、先程までの時間が嘘だった様で、夢だった様。
なんとも品のある2人。
ニコニコ話している姿を見ると
まるで地域のカルチャースクールの先生と生徒の様な。
外へ出て、Nと私。2人並んだ写真をSに撮ってもらった。
私もNも、とびきりの笑顔。
そしてまた私たち3人は、別々の方向へ歩き、日常に溶け込んでいく。
8月の太陽に頭がぼんやりとしてくる。
なんだっけ、これ。あの感じだ。
アラジンが魔法の絨毯から、「僕を信じて!」とお姫様ジャスミンに手を差し伸べるあのシーン。
何となくあれに似ている。
誰がアラジンで、誰がジャスミンで、誰が魔法の絨毯だったのかはわからない。
わからないというか、それぞれに少しずつその役が混ざっている様な。
夢が叶って2人の気持ちは落ち着いてしまっただろうか。
それとも次なる欲が芽生えただろうか。
私は、また。3人で、会いたいな。
十三花
- 2021/08/22(日) 00:39:00|
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